青少年交流事業
派遣

2024年度 「日本青年友好植樹団モンゴル派遣」

2022年11月の日本・モンゴル首脳会談での共同声明に含まれている、日本によるモンゴルの「10億本の植樹」国民運動推進に向けた協力の一環として、環境分野を研究する大学生・大学院生をモンゴルに派遣しました。

植樹活動、環境保護に関するプログラムや、モンゴルの青少年に対する環境にかかる啓発活動等を通じて、環境分野における日本・モンゴル間の相互理解ならびに対日理解の一層の促進を図ることを目的として実施しました。

Highlight 

モンゴルの環境分野における研究・取り組みを理解

モンゴル科学アカデミー 地理学・地生態学研究所および古生物学研究所を訪問し、モンゴルの気候や土壌、古動物、古生物等、同研究所で行われている多様な研究についての説明を受けました。 ホスタイ国立公園では、公園内で行われている草原保全と野生動物保護の現場を視察しました。日本では見ることのできない植生や野生動物を見ることができ、参加者たちからは「モンゴルの雄大な自然に感動した」という感想が寄せられました。また公園内のゾーニングにより、自然環境保全と遊牧民の生活空間が両立しているという説明を受け、こうした取り組みに参加者から強い関心が寄せられました。

モンゴルの青少年との交流および啓発活動 

モンゴル国立大学附属バイガル・エへ高校では、啓発活動として日本の学生による環境に関する発表や研究テーマの紹介を行った後、併設されている環境教育センターを視察し、モンゴルで行われている環境教育についての理解を深めました。また、モンゴル国立農業大学では、両国の学生が自身の環境保護に関する研究の発表と意見交換を行い、植樹活動を行いました。

モンゴル青年との夕食会では、日本に留学経験のあるモンゴルの青年たちと交流しました。終始和やかな雰囲気の中で、親睦を深めることができました。

実施概要 

派遣期間: 2024年9月22日(日)~9月28日(土) 6泊7日間

派遣人数: 13名(団長、団員9名、日中友好会館等事務局3名)

実施団体: (公財)日中友好会館

受入機関: 在モンゴル日本国大使館

内  容: ・植樹活動

      ・環境保護に関するプログラム(視察、ワークショップ・意見交換、関係者との交流等)

      ・モンゴルの青少年に対する環境にかかる啓発活動(学校訪問・交流等)

主な日程

9月22日(日)
PM モンゴル ウランバートル到着

9月23日(月)
AM 在モンゴル日本国大使館レクチャー、モンゴル科学アカデミー地理学・地生態学研究所訪問
PM モンゴル国立大学付属バイガル・エへ高校訪問・交流

9月24日(火)
AM・PM モンゴル国立農業大学訪問・交流、植樹活動
PM モンゴル青年との交流会

9月25日(水)
AM ホスタイへ移動
PM ホスタイ国立公園視察

9月26日(木)
AM・PM ホスタイ国立公園視察

9月27日(金)
AM ウランバートルへ移動
PM モンゴル科学アカデミー 古生物研究所訪問、自然史博物館訪問

9月28日(土)
AM 帰国

参加者の感想 

◆ホスタイ自然公園の視察は、ステップ草原という日本にはない自然環境を実際に見ることができ、感動した。同時にこの広大な土地を保全することの難しさも肌で感じることができ、大変有意義だと思った。

モンゴルには環境保護に関して強固な理想像があると感じた。遊牧民が生活し、経済活動も行う場としての草原と、野生生物保護の場としての草原を両立することは困難なことではあるが、目指す姿がはっきりとしていることは素晴らしいことだと思う。特に保護の対象となる自然にいまだに人が暮らしているということは保全の継続性、関心の高さにおいて非常に価値のあることだと思う。また、研究者と現地住民との話し合いの場が持たれていることも素晴らしいと思った。

自分は研究者として将来的に日本での環境保護に携わりたいと考えているが、今回得た、誰のために、何のために環境保護をするのか、どういった姿を目指すのか、という観点について、日本ではどうすればいいのか考えていきたい。また、今回の滞在で楽しかったことを周囲に共有することで、大国に挟まれ政治的に厳しい立地のモンゴルという土地に、日本人が親しみを感じる一助となりたい。

◆モンゴルの人達が草原を利用しながら暮らしており、実際に同世代の若者にとっても遊牧が身近にあることが良くわかった。日本ではスーパーに行けばなんでも手に入り、食材がどこから来たのか意識することはないが、モンゴルの人々は草原から恵みを得ているという意識が強くあることに驚いた。人々の暮らしを守りながら環境保全を進める上で、ホスタイ国立公園の取り組みも非常に興味深かった。草原再生には非常に時間がかかる上、家畜により一瞬で草原劣化が起きてしまう。かといえ、全く放牧圧がないところでは寡占が進み、不健全な雑草群落が形成されてしまう。うまいバランスを見つけることはとても困難であるが、地道な研究知識の蓄積と、ゾーニングにおける地域の人々の理解がとても重要であると感じた。

◆今回の訪問全体を通じて印象に残ったのは、日本がいかに緑と水に恵まれているかということです。普段から地球温暖化やCO2排出量の増加についてニュースで耳にしていたものの、モンゴルの風景を目の当たりにすることで、日本にいるだけでは感じられなかった緑と水の大切さや、それを守る必要性を改めて強く感じました。

今回の経験を通じて、世界中の人々に今の地球が直面している深刻な状況をもっと理解してもらいたいと強く思いました。進化を追い求めることは重要ですが、目先の利益だけでなく、地球の未来を見据えて行動する必要があると感じました。

◆モンゴルは気候風土の何もかもが日本と異なっていたが、その中で歴史的に自然と共生してきたという部分は日本と一致していたのが印象的だった。また、日本の建築、食文化などは木とともに育まれてきた部分が大きいが、モンゴルはそこに住む動物たちとともに生きてきた歴史が感じられたことが、人間はどの地域でもそこにある自然のものを持続的に利用してきたのだと感じられ、興味深かった。

◆モンゴルの高校生が楽しくクイズに参加してくれてとても嬉しかった。モンゴルは若者が多く、学校数も多いと聞いたが、その中で環境問題に興味を持っている生徒がいるのは嬉しいと感じた。また、モンゴルと日本で学生の交換留学が活発に行われていることをはじめ、日本とモンゴルの交流が盛んなことを知っている人は少ないと思うので、もっと多くの人に知ってほしいと思った。

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