訪中大学生座談会
本座談会は、4月10日(水)~14日(日)の楊万明中国人民対外友好協会会長の来日に合わせ、過去に中日友好協会の招聘により訪中した日本大学生と楊万明会長との座談会を実施し、日中関係および日中青少年交流事業の重要性を再認識し、これからの日中青少年交流の発展へ繋げることを目的に実施しました。実施にあたり、(公社)日本中国友好協会、(一財)日本中国文化交流協会、(一財)日本アジア共同体文化協力機構の協力を得て日本側参加者を募集し、うち6名の大学生が、中国での体験や訪中の感想を発表しました。
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開会にあたり、参加大学生に向けて小川理事長より「日中間の新たな時代は若い世代が担っていくもの。訪中という貴重な機会を生かし、これからの日中間の友好関係と相互理解の懸け橋となってほしい」とコメント。また、楊万明中国人民対外友好協会会長からは「訪中で出会った中国の友人と相互理解を続け、今後の日中関係及び青少年交流のさらなる活発化を期待する」とのメッセージがありました。
日本大学生からは、「中国の美しい街並みや、自然、独自の文化に触れ感嘆した」「中国人のユーモアやおもてなしの温かさに触れた」「訪問先で交流した人々との会話や体験を通して、訪中経験が自身の人生の転機となり価値観や今後の人生に影響を与えた」などの発表がありました。また「実際に訪中して体験した中国は日本で想像していたところとは違ってとても友好的だった」「訪中を通じて中国への興味が強くなり、中国関連の会社に就職した」などの前向きな感想も上がりました。
意見交換では、日本大学生からの「文化芸術による国際交流の可能性についてどう考えるか」との問いかけに対し、楊万明会長は中国雑技団や舞劇など文化芸術の日本公演を例に挙げ、「今後より多くの文化芸能人の訪中、訪日を実現させていく」と、文化芸術における国際交流の可能性への期待を示しました。また、中国側から「次に訪中するとしたらどのようなプログラムに参加したいか」との質問に対し、日本大学生からは「中国の日常生活で欠かせないシェアバイクや、デリバリーサービスなど日常生活の体験」「より多くの意見を持つ中国人との対話」「訪中団が交流した中国の大学生は、みな日本語を勉強したり、日本に関心を持っている人ばかりであったので、真の相互理解を図るために、反日感情を持っている人たちと議論したり、両国の政治問題について真剣に議論したい」などの要望があり、今後のより良い日中青少年交流に向けて活発な意見交換が行われました。
交流の最後には、袁敏道中国人民対外友好協会副会長より「まず中国の友人を作り仲を深め、より深い議論を継続的に行っていってほしい」、楊万明中国人民対外友好協会会長より、「日中間の交流・対話を強化し、お互いに関心を持ち理解を深め、訪日・訪中でできたつながりを代々引き継いでいってほしい」との言葉がありました。また、谷野元駐中国大使からは「より良い交流や議論をするためには、相手の歴史事実を学ぶことは必要不可欠なため、お互いに学び合い、今後の未来を担う若者たちに日中関係をより良くしてほしい」という期待の言葉が述べられました。
実施概要
実 施 日 | 2024年4月13日(土) 15:00~18:00 |
主催団体 | (公財)日中友好会館 |
協力団体 | (公社)日本中国友好協会、(一財)日本中国文化交流協会、(一財)日本アジア共同体文化協力機構 |
参 加 者 | 日本側:中国日本友好協会の招へいにより訪中した大学生23名、協力団体関係者、日中友好会館役員等 計34名 中国側:中国人民対外友好協会代表団、中国駐日本国大使館等 計6名 |
内 容 | 中国日本友好協会の招へいにより訪中した大学生6名が、訪中の体験や中国の感想を発表した後、参加大学生と中国人民対外友好協会代表団が意見交換を行った。 |
主なプログラム
①主催者挨拶
(公財)日中友好会館 理事長 小川正史
②来賓挨拶
中国人民対外友好協会 会長 楊万明
③協力団体挨拶
(公社)日本中国友好協会 理事長 岡崎温
④日本大学生6名による感想発表
⑤意見交換
⑥総括・挨拶
中国人民対外友好協会 会長 楊万明
(公財)日中友好会館 顧問 谷野作太郎
⑦記念撮影
参加者の感想
◆私が視察・訪問先での交流に関する最大の収穫は「日中関係は民間レベルで改善の余地がまだまだある」と感じたことだ。中日友好協会の方々をはじめとして、北京体育大学の学生、太原科技大学の学生が私たちに対して親身に接してくださり、今後日中友好の懸け橋となれるような人々がたくさんいることを認知できた。訪中団の大きな目的として、「メディアで作られた印象ではなく自分の目で日中関係がいかなるものかを確認する」ということが挙げられていたと思う。その意味では前述したような人々が中国に多くいることを知り、訪中団としての大きな成果があったと感じている。私は来年から鉄鋼の専門商社で働くため、中国とは経済面で切っても切り離せない関係であることは重々理解している。しかし、経済的な関係ではなく、少しでも多くの国民がお互いの国への偏見をなくし両国の交流がより深まっていくことが真の友好であると考え、今回見聞きしたことを周囲の人間にしっかりと伝えていきたい。
◆現地の人たちのあたたかい人柄を知ることができました。具体的には、同行のガイドさん、視察先の施設の担当者さん、現地大学の学生たち、食事をご用意してくださったご担当の方々です。特に、行程の序盤において、北京体育大学の学生から「中国人には遠慮はいらないよ!特に学生には、どんどん聞きたいことを聞いて」と言われたことで、その後の滞在期間では上述した方たちと多様な形で交流することができました。交流では良い意味でのカルチャーショックをたくさん経験しましたが、そのなかでも特に、現地の方々の優しい部分、あたたかい部分、ホスピタリティの高さが、すごく印象に残りました。いちばんわかりやすいのは、料理店や販売店などのお店の方々です。私たちが立場としてはお客にあたる、というのも理由ではあったかとは思いますが、すごく小さな点から言えば、お茶は飲み干す前に注ぎに来てくださるし、テーブルの諸不備等にはすぐに対応してくださるし、パフォーマンス的な料理の出し方をされることもありましたし、翻訳機を使った対応を嫌がられることもなかったし、中国語が通じないことがわかれば電卓とジェスチャーで対応してくださったし、など、など、どんどん思い出します。今回の旅では、色んな形あるモノにも触れましたが、現地の方のあたたかい心という、形のないモノにも触れることができたことが、印象に残っています。
◆中国の歴史ある各所を巡り、古くからの中国の形や多くの中国人観光客もガイドの音声を聞いて熱心に回っている様子を見て、古き良き中国の姿の重要さを再認識しました。また、大学生との交流の中で、日本のアニメやゲーム、小説などの文化について日本人よりも詳しかったりすることが印象的でした。そのような文化から日本語を学習してくれているように、私もより中国の文化を吸収しながら中国語を学んでいきたいと思いました。そして、農村の近代化事業についての視察では、農業から農村を発展させようとする姿勢や、スローガンを目にして党の方針を鑑みることができ、印象に残りました。全体を通して、普段の観光だけでは見ることのできないようなところや交流ができたため、多くの気づきを糧にできました。
◆現地のさまざまな学生と交流することで、日本との相互理解が重要であることを再確認しました。文化的な違いを尊重しつつ、互いを理解し合おうという姿勢が、今後の日中関係にとって大切であると強く感じました。はじめ私は、国が違うということだけで、言語や文化の違いから、壁を感じていました。しかし、交流を重ねていくにつれて、中国の方のフレンドリーで気さくな国民性を感じることができました。とても温かく私たちを向かい入れてくださり、すぐに親しみを持って接してくれる姿勢に感銘を受けました。このような経験から、相互理解が日中関係においていかに重要かを強く感じました。互いを理解し合おうとする姿勢が、これからの日中関係をさらに良いものになっていくのではないでしょうか。
◆講義や多くの日中友好を願う人たちとの交流を通じて、今、日本と中国において政治的な隔たりは確実にあると言えるが、それでもできる範囲で日中の関係を良くしたいという強い志を持つ多くの人に出会えたことが私にとって価値があった。正直、中国に訪問するまでは決して好きと言えない、むしろその逆の気持ちが強かった。しかし現地に訪れ、リアルな中国に触れることで良い所、悪い所をしっかり理解することができたと言える。良い所は、料理・文化・歴史など多々あるが、特に二つ「人」と「効率性」を実感した。月並みな表現になるが「人」は温かく、どこにいっても歓迎していただき、嬉しい気持ちでいっぱいだった。現地の大学生との交流では、互いに尊敬の念をもって楽しく会話することができた。「効率性」というのは、決済方法のことである。特にアリペイ、wechatペイの他アプリとの紐づけがとても使いやすく支払い、移動、情報の入手がとても簡単であった。おかげさまで観光時の不安感というものがほぼなく心強かった。悪いところは「衛生観念」と「謙虚さが足りないこと」に尽きる。両者も仕方ないことなのかなと、それが中国であらば文句は言わない。そして、そんなことで中国が嫌だとも思わない、むしろ今回の訪中は中国の魅力が上回り好きになった、またすぐにでも訪れたいと思っている。最後に訪中関係者への感謝と、その想いを少しずつ繋げ日中関係を小さなところから良くしていきたいと思う。
◆日本と中国は似ているようで異なる点がたくさんあると感じた。私たちや中国に行ったことのない人たちは心のどこかで「日本と中国は漢字や強い繋がりからどこか似ているのではないか」と思っていると思う。もちろん似ている部分もあるが、似ている、同じだと思いすぎると差異に直面したときに中国に対して良くない印象を抱くのではないかと思う。今回の訪中を通して中国は日本と異なる文化やおおらかさを持っているなと感じたし、その差異を楽しむことができた。中国に深い魅力を感じることができた。今回気づいた中国の魅力(人のあたたかさや歴史的奥深さなど)を自分の同級生や家族に発信し、たくさんの人に中国を知るきっかけを作っていきたいと思う。自分自身もまた中国を訪れてさらなる魅力を知っていきたい。