「JENESYS2023」2023年日中障害者福祉青年交流代表団
本事業は、共生社会を目指す日中両国において、障害者福祉分野での協力は重要であることから、「障害者がより一層活躍できる共生社会の実現を目指して」をテーマに、中国障害者連合会及び関連機関に所属する青年を訪日招聘し、テーマに関する視察・交流等を通じて、同分野での日中間の関係構築の一層の強化を図るほか、日本の経済、社会、文化、歴史等に関する視察など、多面的な日本理解につながる活動を行い、対日理解を促進することを目的として実施しました。
Contents
Highlight
日本の障害福祉に関する取り組みを学ぶ
厚生労働省と滋賀県で日本の障害福祉分野の現状や課題等についてブリーフを受けたほか、重度障害者支援施設の社会福祉法人びわこ学園、障害者を多数雇用しているパナソニックアソシエイツ滋賀(株)、国立リハビリテーションセンターを視察しました。障害者福祉に関する政策や障害者の社会参加、介護、雇用、就業、自立訓練、関連学習等について実際の現場の声を聴き、見て、日本の障害者福祉について多角的に学ぶことができました。
実施概要
招聘期間 | 2023年8月1日(火)~8月5日(土) 4泊5日 |
招聘人数 | 30名(団長、事務局等2名、団員27名) |
実施団体 | (公財)日中友好会館 |
派遣団体 | 中国障害者連合会 |
派遣協力 | 在中国日本国大使館 |
内 容 | ・訪日テーマ「障害者がより一層活躍できる共生社会の実現を目指して」に関するブリーフ、交流、視察 |
・日本の経済・社会・文化・歴史等に関する視察・参観 | |
・日本に対する包括的理解促進につながるプログラム等 |
主なプログラム
8月1日(火) | PM | 来日、歓迎会 |
8月 2日(水) | AM | 厚生労働省ブリーフ |
PM | 皇居・二重橋参観、滋賀へ移動 | |
8月 3日(木) | AM | 滋賀県副知事表敬 |
滋賀県ブリーフ | ||
社会福祉法人びわこ学園視察 | ||
PM | パナソニック アソシエイツ滋賀(株)視察 | |
8月 4日(金) | AM | 東京へ移動 |
PM | 国立障害者リハビリテーションセンター視察、歓送報告会 | |
8月 5日(土) | AM | 東京タワー・増上寺参観 |
PM | 帰国 |
参加者の感想
◆今回、日中障害者福祉青年交流に参加できたことを光栄に思います。日本の障害者福祉推進活動の成果を実感しました。障害者保護のための法制度の継続的な改正とアップグレードから、さまざまな福祉政策と財政支援の導入まで、政府の擁護から社会のあらゆるセクターの積極的な参加まで、どこでも目にする緩やかなスロープから、便利な点字ブロック、よく考えられたバリアフリートイレ、多様で個別化された正確なサービスまで、至る所に調和のとれた共生社会を推進するための日本の努力と成果が反映されていました。5日間の交流学習は、収穫に満ちた、濃厚で充実したもので、参加する価値がありました。日本と同様に、中国も障害者団体と障害者事業の発展を非常に重視しています。帰国後は、私が学んだ貴重な経験を総括し、日本で見聞きしたことをより多くの友人と共有し、現実と結び付けて仕事の実践に生かし、障害者が能力を発揮できる共生社会の構築を促進するために積極的に努力していきたいです!
◆日本のきめ細やかなサービスと行き届いたケアを感じました。びわこ学園は、障害者一人一人の人生の価値と発展を尊重し、障害者のリハビリテーション、労働、ケアにおいて、重度障害者が口にする飲み物までも、その人の好みに応じて変えていました。パナソニックアソシエイツ滋賀特株式会社では、障害のあるすべての従業員に専用の作業場所を設置しており、企業のヒューマンケアが充実していました。日本が科学技術産業のイノベーション精神を障害者福祉にも応用していることに感嘆しました。また、日本は衛生環境がとても良く、どの場所も清潔で整頓されていて、国民の資質が非常に高いと感じました。また、障害者福祉に関するトップレベルのデザインや、リハビリテーション、雇用、社会参加の促進などの具体的な実践において、私たちが学ぶ価値のある高度な概念と実践を持っていると深く感じました。同時に、日本の文化や社会への理解を深め、さまざまな習慣を体験することができました。
◆日本の衛生環境はとても清潔で、皆とても礼儀正しく、とても繊細で真面目で、周りの人たちを大事にしていました。今回の訪日を通じて、特に障害者の福祉について理解を深めることができました。“すべての障害者を尊重しましょう”この言葉は、私の記憶に深く刻まれました。“障害者に光を与えるのではなく、障害者から光を発する”一人の障害者として、文化の継承者として、私はこのことを体感することができました。今回、訪日し交流を行ないましたが、この地で輝いている光を故郷に持ち帰り、より多くの障害をもつ児童が光になれるようにしていきたいと思います。文化の継承者として、このような美しい中国と日本の交流を、私自身も伝えていかなければならないと感じました。
◆今回の日本滞在時間は短かったですが、見聞きしたことは大変豊かで深く感動するものでした。個人的な収穫をいかに纏めます。(1)日本では、障害者や高齢者の介護が社会において習慣化しており、細部にその真実を見ることができました。東京に降り立った瞬間から、さまざまなバリアフリー化が目に入りました。まず興味を持ったのは空港での搭乗用に設計された分解可能な車椅子です。車椅子の2つの車輪を椅子本体から取り外すことができ、搭乗時には通常のシートに変えることができ、狭い機内を簡単に移動できました。機内から降りた後、車輪は再び取り付けられ、障害者が一人で使用できるための通常の車椅子に戻されました。複雑なデザインではありませんが、機内や空港内での車椅子を繰り返し使う際の問題を巧みに解決していて、驚きました。(2)私たちのバスには車椅子の昇降装置が装備されており、ドライバーは細心の注意を払ってあらゆる種類の操作をしていました。バスのバリアフリー化は完璧で、ドライバーが操作するための教育も行き届いている感じで、ドライバーのプロ意識にも感服しました。(3)新幹線には、車椅子用スペースが充実しており、トイレはバリアフリー設計のコンセプトを具体化しているだけでなく、障害者や新生児のいる家族の旅行ニーズに応えるための「多目的」ルームが用意されており、駅員のサービス意識も非常に高かったです。中国国内の高速鉄道の同様のサービスは強化が必要と感じました。(4)日本のほとんどの公衆トイレにはスマートトイレが設置されており、コストはかかるかもしれないが、障害者のトイレ体験を向上させ、衛生状態の維持にも貢献していました。(5)日本のゴミ分別は非常に厳しく、空のボトルはゴミ箱に捨てることができず、ホテルまで持ち帰らなくてはなりませんでした。最初に日本に着いたとき、私たちは慣れませんでしたが、それについて考えた後、美しい環境の背後には全ての人々の小さな努力があることも理解できました。