留学生事業
対外交流
「新たな50年に向かって」―中日国交正常化50周年孔鉉佑大使講演の一感想(後楽寮生・童 華軍)
「この50周年を終点とすべきではなく、新たな50年に向かう始まりとすべきだ」という孔大使の劈頭の一句に感銘を受けた。6月1日の午後2時、場所は千代田区にある私学会館、孔大使は観衆に向かって積極的に発信していた。この講演を聴くために日本各地から多くの方々が集まってきた。そして、僕を含めた7人の後楽寮生もこの講演会に招かれた。
講演では中日国交正常化が歩んできた道を振り返り、中日友好のために努力を重ねてきた人々の歴史を真摯に語った。また、現時点で米国の対中政策が緊張感を増すなかで、中日関係の正しくあるべき姿についても言及した。これまでに収めた成果を守りつつ、積極的に中日関係の未来を開いていくという姿勢がとても印象的だった。
孔大使に与えられたのは1時間だけだった。たった60分では歴史を顧みるにも、友情を語るにも限界がある。幸い、30分ほどの質疑の時間が設けられた。この部分では、長らく中日友好に携わってきた方の経験談をうかがったり、台湾問題やメディアの自由に関する厳しい質問があったりした。正に中日交流の最前線に立っているように感じた。
中日友好のためなら、なるべく敏感な話は控えたほうがいい、といつも考えていた。しかし、雨降って地固まるという言葉があるように、所謂敏感な事についても、お互いに心を開いて、自分の立場を明確に伝えていく事も大切だと、今回大使の講演を聴いて思うようになった。
(南開大学 日本言語文学科博士前期課程二年)