「JENESYS2022」日中障害者福祉青年オンライン交流
日中両国の新たな分野での協力として、「障害・リハビリ分野におけるロボット・機器の応用」「特別支援教育とパラスポーツ」をテーマに、リハビリ分野や障害者福祉の分野での交流を実施し、日中関係の更なる友好親善を図ることを目的として本交流を実施しました。
Highlight
障害・リハビリ分野におけるロボット・機器の応用に関する発表・意見交換
障害者福祉、リハビリ分野の研究者や従事者等が参加し、テーマに関する研究成果や現状等についての発表、意見交換を行いました。
参加者から「リハビリ大学は医療や技術のみならず、社会の制度面・法律面においても役割を果たすのか、社会分野における任務はどのようなものか」「脊髄損傷治療に関する新素材の応用について、例えば、新しいバイオマテリアルは日本でどのように評価され、下肢の機能再生においてどのような効果があるか」「筋肉の萎縮について、リハビリにより筋肉が疲労することで更なる重症化につながるが、治療方法に対してどのような提案があるか」「中国障害者連合会では、不足する専門家の充実・育成、医療設備の地方における展開等について戦略はあるか、また日中間の交流において、知りたい分野等日本に期待することがあれば教えてほしい」等の質問が挙がり、専門分野における今後の展開や取り組み等について意見が交わされました。
特別支援教育とパラスポーツに関する発表・意見交換
特別支援教育の関係者、障害者・パラスポーツへの支援に取り組んでいる日本企業、パラアスリート等が参加し、テーマに関する取り組みや現状等についての発表、意見交換を行いました。
参加者から「日本の盲学校での職業教育はどのようなものがあるか、またそれを受けたことで就活・就職が変わってくるか。大学へ進学する学生に対してどのような教育を行っているか」「障害者雇用、支援に関して社内で反対はなかったのか、あった場合どのような意見だったか」「日本では東京オリンピックが決まってからパラ選手のアスリート雇用をする企業が増えたが、中国ではオリンピックを機に何か変化があったか」等の質問が挙がりました。
最後に、障害者福祉分野における課題に対し解決に繋がる意見交換等の交流を今後も続けていきたいとのメッセージが伝えられました。
実施概要
実施日時 | 【1】 オリエンテーション、第一部:障害・リハビリ分野におけるロボット・機器の応用 |
2022年11月8日(火)9:30~13:35(日本時間) | |
【2】 第二部:特別支援教育とパラスポーツ | |
2022年11月9日(水)9:30~12:25(日本時間) | |
参加者 | 日中の医療分野の研究者、リハビリ従事者、特別支援教育関係者、パラアス リート、パラスポーツ関係者、 |
障害分野への支援に取り組んでいる日本企業等 | |
中国側参加者 37名 | |
日本側参加者 31名 | |
実施団体 | (公財)日中友好会館 |
協 力 | 在中国日本国大使館、中国障害者連合会 |
内 容 | テーマ「障害・リハビリ分野におけるロボット・機器の応用」「特別支援教育とパラスポーツ」に関する発表、質疑応答、意見交換等 |
実施方法 | Web会議サービス「Zoom」を使用したオンライン交流 |
主なプログラム:オリエンテーション、第一部
オリエンテーション
①在中国日本国大使館挨拶
②中国障害者連合会挨拶
③JENESYSプログラム説明
第一部:障害・リハビリ分野におけるロボット・機器の応用
①リハビリ大学挨拶
②リハビリ大学建設について紹介
③リハビリ大学研究成果発表(1)
テーマ:リハビリテーションに関する中日間の学術交流とその展望
④リハビリ大学研究成果発表(2)
テーマ:神経筋インターフェイスに基づく多自由度ロボット支援リハビリテーション
⑤日本側発表(1)
テーマ:脊髄損傷に関する研究のフレームワーク開発/臨床研究とその成果の現場実装
⑥日中双方交流、意見交換
⑦中国側発表
テーマ:インテリジェントロボットのリハビリテーション医学への促進と応用
⑧日本側発表(2)
テーマ:日本のリハビリテーション医療の変遷と現状
⑨日本側発表(3)
テーマ:脊髄性筋萎縮症のリハビリテーションについて
⑩日中双方交流、意見交換
⑪リハビリ大学による総括
主なプログラム:第二部
第二部:特別支援教育とパラスポーツ
①プログラム説明
②日本側発表(1) 千葉県立千葉盲学校
テーマ:日本の特別支援教育の概要
③中国側発表 青島市盲学校
テーマ:自主 融合-視覚障害学生の終身発展のために
④質疑応答
⑤日本側発表(2) 日本企業4社による障害分野への取組・支援について
⑥質疑応答
⑦日中双方によるパラスポーツ等についての発表
テーマ:パラスポーツの展望と課題について
⑧パラスポーツについての意見交換
⑨総括、来年以降の活動に向けたメッセージ
参加者の感想
《中国側》
◆リハビリ分野関係者
今回のような双方が発表する方式でのオンライン交流はとてもよかったと思います。お互いに自国の障害者リハビリテーションについて、その理念や技術、手法などを紹介することができました。今後もこのような交流活動が増えることを願っています。また、可能であれば将来的には対面での交流もできればより良いと思います。友好を深め、お互いを知り、学び合い、ともに成長することができると思います。
◆リハビリ分野関係者
日中両国は、高齢化への対応という同じ課題に直面しています。リハビリのサービス、マネジメント、研究、人材育成など話し合いながら一緒に模索できる分野も多いと思います。今回のような交流は、双方の理解・信頼が深まり、両国国民の友情を強めることにも繋がると思います。
◆リハビリ分野関係者
日本ではパラリンピック選手の経費の大部分が企業によって支援されているとのことで、パラスポーツにおいて企業が担う役割が大きいのだと知りました。この点は中国とは大きく異なっており、学ぶべきだと思いました。
◆障害者福祉分野関係者
障害者のリハビリや教育、スポーツなど各方面の制度が日中で異なっており、興味を持ちました。
◆パラスポーツ関係者
日本のパラスポーツに関する政策をより全面的に理解することができました。
《日本側》
◆リハビリ分野関係者
中国の西洋リハビリテーションにおいて、脳卒中などの高齢者疾患に対する意識が高いことを感じました。
◆特別支援教育関係者
職場にいながらにして国境を越えた交流会に参加でき、改めてオンラインの強みを感じました。国内の盲学校についてはある程度網羅していますが、海外の盲学校についてはわずかな知識しかありませんでした。今回の交流会を通じて多くの発見があり、今後のネットワーク構築に期待のもてたことは大変貴重でした。お互い視覚障害教育に携わる者同士として、情報交換しながら切磋琢磨していければと思います。
◆障害者・パラスポーツ支援に取り組む日本企業関係者
日中両国の特別支援教育や、他の企業のCSR活動、パラリンピック選の発表等を伺って、大変勉強になりました。特に、選手の生の声を聴いて、とても感動しました。障がい者向けに、日中お互いに交流、勉強しあうチャンスとして、今後とも注目していきたいと思っております。
◆パラアスリート
両国また他競技の選手が、コロナ禍でどのように、そしてどのような思いで活動してこられたのか、このオンライン交流会がなければ知ることのできなかったことなので、今回このような会に出席できたこと大変嬉しく思います。実際にお会いして顔を見て交流したほうがもちろん良いのですが、このようにオンラインでの交流も通訳さんのおかげでスムーズに行えたので良かったと思います。今後もこのような交流が増えていけば嬉しいです。