「JENESYS2024」日本青年教育関係者訪中団
本事業は、中国日本友好協会の招待により日本の教育関係者を訪中派遣したもので、今回は2011年以来13年ぶりの実施となりました。各種教育機関の訪問・視察、中国の教育関係者との交流を通じて、教育分野における相手国への理解と、日中教育関係者同士の相互理解を深めるとともに、歴史・文化に関する参観を通じて総合的な対中理解を深めました。
Contents
Highlight
北京市と山東省で学校訪問・視察を行う
北京市陳経綸中学(高等部)では、副校長らの案内で校内施設や校史館等を視察した後、交流会に参加しました。済南外国語学校では、図書館や心理センター等の視察や小学部から高等部の授業見学、キャンパスツアーに参加し、座談会では在校生から日本語で学校紹介を受ける等しました。曲阜師範大学附属小中学校では、高等部の英語授業の聴講や小学部の美術クラブの見学の他、グループに分かれて様々な授業を見学しました。この他、曲阜師範大学教師博物館では館内視察の他、漢服ショーや書道、孔子像の版画作成等の伝統文化体験を行い、日中教師による座談会にも参加しました。どのプログラムでも日中教員同士の直接交流の時間が設けられ、日中双方から多くの質問の声が上がり、相互理解が深まりました。
日中教育関係者座談会・交流夕食会に参加
過去に訪日した中国教育関係者代表団参加者28名と本訪中団参加者による座談会と交流夕食会に参加しました。「ICTの利活用」「教育の働き方」「指導方法」「生徒・学生のメンタルヘルス」等日中の教育現場に共通する7つのテーマをめぐり、活発な意見交換が行われました。交流夕食会では、リラックスした雰囲気の中で更に踏み込んだ交流ができました。
中国の歴史・文化・教育を学ぶ
北京では万里の長城と宋慶齢青少年科技文化交流センターを見学、山東省では山東手造展示体験センター、孔子府・孔子廟を見学し、中国の歴史・文化・教育等について理解を深めることができました。
実施概要
派遣期間 | 2024年10月27日(日)~11月2日(土) 6泊7日 |
派遣人数 | 45名(団長、団員41名、日中友好会館事務局3名) |
実施団体 | (公財)日中友好会館 |
受入機関 | 中国日本友好協会 |
内 容 | ・各種教育機関の訪問・視察 |
・中国教育関係者(過去の中国教育関係者代表団参加者を含む)との交流 | |
・中国の経済・社会・文化・歴史等に関する視察・参観 | |
・中国に対する包括的理解促進につながるプログラム等 |
主な日程
10月27日(日) | PM | 北京着 |
10月28日(月) | AM | 居庸関万里の長城見学 |
PM | 在中国日本国大使館訪問 | |
中国宋慶齢青少年科技文化交流センター訪問見学、中国文化体験 | ||
歓迎宴会 | ||
10月29日(火) | AM | 北京市陳経綸中学(高等部)訪問 |
PM | 日中教育関係者座談会、交流夕食会 | |
10月30日(水) | AM | 山東省済南市へ移動(高速鉄道) |
PM | 済南外国語学校訪問・視察・座談会、山東手造展示体験センター見学 | |
10月31日(木) | AM | 曲阜へ移動 |
PM | 曲阜師範大学教師博物館視察・伝統文化体験、曲阜師範大学訪問・交流 | |
曲阜師範大学附属小中学校訪問・授業見学、日中教師杏壇会(座談会) | ||
歓送報告会 | ||
11月1日(金) | AM | 孔子府・孔子廟見学 |
PM | 上海市へ移動(高速鉄道) | |
11月2日(土) | PM | 帰国 |
参加者の感想
◆中国での学校訪問をさせていただき、先生方や生徒の皆さんの真摯な姿勢に深い感銘を受けました。グラウンドなどの校内の設備に圧倒されましたが、それだけではなく随所に温かみが感じられ、生徒一人ひとりの学びや成長を大切にされていることがひしひしと伝わってまいりました。全体の場での交流会では、高いレベルでの日中の教育においての質問と質問に対する答えがあり、どちらも私にとって大きな学びになりました。座談会での交流では日中両国の教育システムの違いに驚きながらも、日本で取り入れたいところは今後たくさん取り入れていきたいと思います。
◆今回、日本青年教育関係者訪中団の一員として参加できたことは、私の人生において、大きな財産です。また、忘れられない「経験」や「お言葉」をたくさんいただきました。本当に感謝しております。
最も感銘を受けたのは、全聚徳での中国側の代表あいさつで「最も美しい景色は人である」とのお言葉です。これまで、私にとっての美しい景色とは、自然の風景や文化的建造物等のことでした。それが「人」というのは、目から鱗、概念が覆るお言葉でした。そのお言葉を聞いて、中国の先生方や生徒の皆さん、日本中から集まった先生方等、「人」が「人」のために行動する姿を目に焼き付けようと、決意したところでした。
日中教育関係者座談会では、「生徒のメンタルヘルス」について,参加させていただきました。日中の先生方が、子供の健やかな未来を願う思いは同じなのだなと認識したところです。日本と中国は、親和性も高いと思うので、お互いの教育について学び合い、よいところは、取り入れることも必要だと感じました。
中国での毎日は、中国側のおもてなしに、心が温かくなる日々を過ごしました。貴重な経験ありがとうございました。
◆中国における教育(教師)の尊重、また教師自身の誇りと自信溢れる姿に、刺激をいただきました。
日本ではメディアやSNSの影響もあり、「教員の質の低下」「学校のブラックな働き方」等学校に対してネガティブな世論が強くなってきています。当事者である私自身も、つい不満を漏らしてしまうことが多々ありました。
しかし今回、一度勤務校を離れて各視察先を訪れる中で、自分の考えを改める機会を頂けました。教育は次世代を担う若者を育てる、つまり社会の基礎をつくることに繋がる、大変意義深いものです。教師は児童生徒を導く者として日々研鑽し、自分の仕事に誇りと自信を持って、振る舞えば良いのです。何より、堂々と振る舞う先生の姿が、生徒に対して向上心や学習の動機を与えることにも繋がるでしょう。
自分の働き方、仕事に向かう姿勢を改めるよう、モチベーションを頂くことができました。
◆今回の視察を通して、中国と日本の文化の結び付きをより強く感じることが出来た。実際に自分の目で、肌で、中国の文化を実感できたことは何よりの収穫だった。また、中国の教育関係者と交流出来たことも大きな収穫だった。特に、同じ業種の教諭との交流が心に残っている。学校の規模や校時表、勤務状況、保護者との関係は日本と大きく異なっており、大変興味深かった。その一方で、子どものよりよい未来をつくるために働いているという点は中国も日本も変わらなかった。同じ目標を目指し、切磋琢磨していきたいと強く感じた。また、交流することの重要性も再認識できたので、今後も様々な立場の教育関係者との関係を築いていきたい。
この訪中前は、中国に対してマイナスイメージが大きかったが、今回の訪中を通して、中国の方々のあたたかい人間性に触れ、プラスイメージが大きくなった。中国に対する興味も強くなり、さらに知りたくなった。今後も、中国と積極的に関わり、理解を深めていきたい。また、今回の訪中で感じたことや学んだことを、身近な人、特に未来を担う子どもたちに、還元していきたいと思う。