招聘

「JENESYS2024」中国社会科学院青年研究者代表団 

本事業は、中国の哲学・社会科学の最高機関である中国社会科学院に所属する有望な若手研究者を訪日招聘し、「産業政策と新興産業」をテーマに、有識者によるセミナー・視察・交流等を通じて、同分野における日本の現状・課題と展望について理解を深めるほか、日本に対する包括的な理解を促進することを目的として実施しました。

Highlight 

日本の産業政策と新興産業について理解を深める 

産業政策を理解するため、経済産業省の担当者より、日本の産業政策の新機軸についてブリーフを受け、一橋大学の島本実教授より、日本の産業政策の歴史についてのセミナーを受けました。東北大学では、産学連携やスタートアップ支援について紹介を受け、また、宮城県庁にて産学連携によって作られたナノテラスの産業利用促進への取組についてブリーフを受講しました。東京へ戻り、帰国前日にはSUNDRED株式会社による新産業創出とインタープレナーについてのブリーフを受講し、講師と団員による活発な質疑応答が行われました。 

震災遺構 仙台市立荒浜小学校参観と日本文化体験 

宮城県では、震災遺構である仙台市立荒浜小学校を参観し、現地ボランティアによる語り部の話に団員は興味深く耳を傾け、津波の恐ろしさを体感したようでした。東北大学を訪問した際には、魯迅が学んだ階段教室を見学しました。 

また、東京で参観した深川江戸資料館では、日本の昔の営みを体験し、団員は大変興味深く見学していました。 

実施概要 

招聘期間: 2024年6月30日(日)~7月6日(土) 6泊7日間 

招聘人数: 19名(団長1名、秘書長1名、団員17名) 

実施団体: (公財)日中友好会館 

派遣団体: 中国社会科学院 

内   容: ・訪日テーマ「産業政策と新興産業」に関するセミナー・ブリーフ
       ・テーマに関する視察、交流
       ・日本に対する包括的理解促進につながるプログラム等 

主な日程 

6月30日(日) 
PM 来日、浅草寺参観 
 
7月1日(月) 
AM 経済産業省ブリーフ、外務省表敬訪問 
PM テーマに関するセミナー、歓迎会 
 
7月2日(火) 
AM 宮城県へ移動 
PM 瑞鳳殿・震災遺構 仙台市立荒浜小学校参観、日本文化体験(和風旅館宿泊) 
 
7月3日(水) 
AM 松島・瑞巖寺参観 
PM 国立大学法人東北大学訪問 
 
7月4日(木) 
AM 宮城県庁ブリーフ  
PM 東京へ移動、都内参観 
 
7月5日(金) 
AM 深川江戸資料館・東京タワー参観 
PM SUNDRED株式会社ブリーフ、歓送報告会 
 
7月6日(土) 
AM 帰国 

参加者の感想 

◆今回の日本視察では多くのものを得ました。主なポイントは以下の通りです。1. 日本人は時間の概念がとても強いです。今回の調査研究行程のすべての項目は密接に関連しており、スケジュールに従って厳密に実施されるため、調査研究の効率と収穫が向上します。2. 日本はテック系スタートアップ企業の支援に力を入れています。日本政府、地方自治体、業界団体、大学等は、技術系スタートアップ企業の育成を支援しており、新技術分野におけるイノベーションと起業家精神の強力な原動力となっています。3. 日本は政府、大学、企業間の優れた共同イノベーションモデルを形成しており、それは主に科学技術パークの建設と科学技術企業のライフサイクル全体の開発支援に反映されています。4. 日本の産業政策の是非は議論されていますが、総じて新産業の育成を促進してきました。産業政策の効果は一概には言えず、産業政策の具体的な支援の方向性と方式にかかっています。現在の新産業におけるイノベーションと起業のための産業支援政策は、総じて参考に値します。5. 日本は、地域間の統合と包摂的発展のレベルが高いです。新幹線が各地への迅速なアクセスを実現し、各地の開発レベルが高く、住民の生活や公共サービスの質とバランスのレベルが高く、具体的な体験をさらに研究学習する必要があります。 

◆日本の印象を2つの言葉で表すとしたら、清潔さと礼儀正しさです。 清潔さは、日常の生活シーンに現れているだけでなく、新幹線やレストラン等の公衆トイレの清潔さも驚きでした。礼儀正しさは、あらゆる分野のサービススタッフに体現されています。私と同僚は、何が原因でこのような清潔さが作り出されているのか、何がサービススタッフのプロ意識と礼儀正しさに影響を与えているのかを、ツアーの間中ずっと考え、議論してきました。その最たる根源は、教育と文化だと思います。また、その優れた伝統文化をいかに生活や社会に溶け込ませていくかが、私が今回の訪日で得た最も貴重な経験です。 

◆研究の過程で、日本はイノベーション起業精神を非常に重視しており、政策ツールや管理システムの適用が非常に多様で柔軟であるため、東北大学共創研究所のようなスタートアップ産業支援システムを確立することができたと感じました。これは、科学研究機関の管理システムの革新にとって大きな参考意義があります。SUNDREDのようなプラットフォーム企業が発展し、役割を果たす余地を持つためには、政府、ビジネス界、一般市民の間の一致した意思が必要です。また、宿泊や食事、礼儀作法など、日本の伝統文化にも感銘を受けました。日本と中国は、文化起源が似ていて、独自の文化シンボルを有しており、このことが、中日の文化の相互理解と学習の条件を造り上げています。 

◆今回の訪日を経て、日本は経済、科学技術、文化、教育など多くの面で、まだまだ私たちが学び、参考にする価値がある国だと深く感じています。以下は、今回の訪問で私が経験した詳細です。日本滞在中、日本経済の強さに感銘を受けました。日本経済は、米国、中国に次ぐ世界第3位です。訪問中、日本には製造業、サービス業、金融業などの全ての分野において、世界をリードする企業があることを知りました。また、日本の科学技術力も非常に強大で、世界有数の研究開発費支出国です。日本の将来に期待しています。