日中国交正常化50 周年に考える

 日中国交正常化50周年となる今年は両国にとって非常に重要な節目の年である。1972(昭和47)年9月、田中角栄首相が中国に訪問し、日中国交正常化を果たした。その結果日中経済協力も強められ、1978年には福田赳夫内閣のもとで日中平和友好条約が結ばれたが、それ以降の両国の関係性は安定しているとは言い難い。本来であれば50年前のこの出来事について話をしたいところだが、残念なことに私は平成生まれである。この記念的な出来事に遇えなかったため、少し自分の中国に関する思い出を話そうと思う。
 私が小中学生の頃、日中関係はあまり安定していないと子どもながらに感じていた。尖閣諸島問題や反日デモが繰り返しテレビで取り上げられていたのを記憶している。そして周りの大人の中にも反中感情を抱いている人がいるということを知っていたが、そのような環境の中でも私は中国に対して好意的な感情を持っていた。なぜかというと、小・中・高、そして大学にも、中国人の同級生がいたからである。日本に長く住んでいる人もいれば、留学生もいた。彼らは私たち日本人となんら変わりなかった。それどころかとても気さくで明るく、日本人にはあまりない積極性とパワフルさを兼ね備えており、勉強熱心だった。いつもエネルギッシュな彼らに励まされることが多かった。テレビで報道される中国人像と、普段中国人と関わることがない大人たちが持っている中国人像は、決して良いとは言えないものだが、私自身から見た中国人は全くそのような人たちではなかったのである。
 現代ではネットが急速に発展し、テレビも一般に普及しているため、簡単に情報が得られるが、やはり重要なことはその情報を鵜呑みにせず、実際に自分の目で相手をよく見て、言葉を交わし、相手を理解しようと心がけることではないかと私は考えている。
 日中国交正常化から50年経ったが、この間にはさまざまな問題が起こった。国家間の問題については相手とよく話し合い、理解しようと努力すれば解決する、なんてきれいごとは到底言えない。一個人が簡単に意見を出せるようなものでもない。この文章を書くにあたって自身が専攻している歴史について述べようかとも思ったが、やはりこれも簡単に述べていいほど単純なものではないという理由で取り止めた。しかし、個々人についてなら、先ほど述べたことが生きてくるのではないだろうか。相手をよく見て、言葉を交わし、お互いに理解しようと努めることで、関係性がより良くなることを切に願っている。

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